化学脳
タイプ別理系診断~化学的理系~(受験対策)
今回は化学的理系の思考や性格について書いていきます。数学、物理学(下記リンク参照)は似た側面がありましたが、化学的理系は少し違います。化学がどういった学問か整理しながら考えていきましょう。
化学の特徴「実験がすべて」
化学がどんな学問であるか、これはほとんどの人が予想がつくと思います。実験です。1にも2にも3にも、晴れの日も雨の日も実験です。いわゆる一般的な理系のイメージは、この化学的理系に当てはまると思います。ただ実験と一口に言っても、行うことは大きく分けて3つあります。まず、仮説。次に、実験。最後に考察です。中学校や高校でも、実験の前後には仮説と考察を挟むのではないでしょうか。これを繰り返すことで、新発見をしたり、法則を見つけ出したりするのです。
最初に行う『仮説』とは、「○○は××ではないか」という予想を立てることです。自分が今まで見たり感じたりしてきたことからある一定の法則性を見出し、根拠を持って予想を立てることを仮説と言います。
何やら言葉にすると難しそうですが、実は普段私たちも無意識的にやっていることなんです。
そう、例えば今まで食べてきたものの中でおいしかったものは全て値段が高いものだとしたら「高いものはおいしいのではないか」という『仮説』を立てるわけです。そして、さらに色々なものを食べていく中で「そうでもないな…」と仮説が正しくなかったことを身をもって知るんですよね。
あるいは、宿題を一生懸命に取り組んだ時に成績が上がったのあれば「宿題を真面目にやったら成績が上がるのではないか」という『仮説』を立てますよね。そして次のテストでも、またその次のテストでも、宿題を一生懸命行った結果成績が上がることがわかり、「やっぱりそうだった!」と仮説が正しかったことを証明するわけです。素晴らしいですね。
次に行うのが『実験』です。これは説明不要ですね。先ほど挙げた例にもあったように、自分の立てた『仮説』が正しいかどうか、似たような検証を行っていくのが実験です。
そして最後に『考察』を行います。仮説が正しかったのであれば「なぜ正しかったのか」あるいは「他の条件でも同じことが言えるか」を考えます。仮説が正しくなかったのであれば「なぜ正しくなかったのか」そして「次はどうすればいいか」を考えます。そこからまた新たな『仮説』が生まれ、また『実験』して、また『考察』して…と繰り返していくわけです。先ほどの例であれば、
「なぜ正しかったのか」→「宿題が適切だったから?」、「他の条件(他の人や他の科目など)でも同じことが言えるか」→「他の条件でも実験」という感じですね。
もう一つの例ならば、「なぜ正しくなかったのか」→「食べ物というくくりが大きすぎた?」、「次はどうすればいいか」→「『牛肉』に絞って考えてみる」→「新仮説:牛肉は価格が高いものの方がおいしいのではないか」などと考えていきます。
では化学の本質、実験の流れをおさらいしてみましょう。
うーむ、上手くいかない…
ならば条件を○○から□□に変えてみるか。…
よし、今度は上手くいきそうだ!しかしデータ量が乏しいな…
信頼のおける数値までデータを取ってみるか。…
よさそうだな!ならば今度は、ここからさらに◎◎を行って…(。´-ω-)ブツブツ」
これが化学的な思考です。非常に理論的ですね。一般的な理系のイメージに近いものが、化学的理系といえるのではないのでしょうか。理想を追い求める夢追い人、子供心を忘れない小学生的学問が『数学』、理想と現実を結びつける架け橋、イメージとリアルの狭間でもがく中学生的学問が学問が『物理学』、現実を突き詰めていく超リアリスト、現実をリアルに見始める高校生的学問が『化学』といえるかもしれませんね。
化学的理系の思考や性格
実験と化学には深い結びつきがありましたが、次は化学的思考や性格について考えてみます。
今まで同様「問題にぶち当たった時にどう対処するか」という考えから探っていきます。
今回も「2x=6を解け」という問題が出たとします。さぁ、どうしますか?
化学的理系の人たちは、例題の解き方を見ます。
『-3x=15を解け』では両辺-3で割ってx=-5か…
なるほど!つまり、両辺をxの前の数で割るということだな!
じゃあ下の練習問題で練習してみるか。…
ん、この『1/4x=-9』はどうやるんだ?
解説を見て…なるほど、これは両辺を4倍してx=-36か!
ということは、xの前の数をなくすように、両辺かけ算わり算すればいいわけね、わかった。
それじゃあ、もう少し問題集で練習してみるか」
数学、物理学とは明らかに違います。数学・物理学的理系の人たちは、まず定義から入りましたが、化学的理系の人たちは、まずデータを集めます。そこから自分なりの仮説を立て、実験(練習)を行います。そして、仮説との違いがあれば新仮説を立て、また実験を繰り返すんですね。
数学的理系、物理学的理系はどちらも『理解すること』に重点を置きましたが、化学的理系の場合『問題が解けること』を重視します。そのために、教科書に書いてあることを教科書通りに使い、その後は問題練習をして使い方を習得する。理想的な学習方法ともいえるかもしれませんね。極めて効率的で、無駄がありません。
テストの点数は勉強時間に比例し、勉強時間が長いときはテストの点数が取れますし、短ければあまり点数は取れません。非常にシンプルです。
ただ、柔軟な発想が苦手なため、応用問題が苦手です。
先ほどの例で言えば、1/4x=-9は、両辺4倍ではなく両辺を1/4で割ると言うこともできますが、すぐにはそれに気付きません。故に80点~90点は取れても、満点はなかなか取れないことがほとんどです。一般的な『勉強ができる人』というイメージが一番近いかもしれません。地道にコツコツと努力することができる人は、学問的に化学が向いていますね。
化学的理系の特徴は『頭の固い効率主義者』です。問題が解けることがすべてです。基本は基本、コツは量をこなすことと慣れです。応用は応用、書いてあることを同じように書けるかが肝です。やればできます。やらなければできません。それを理解しているからこそ、自分である程度のスケジュールを決めて勉強することができます。オンとオフを使い分けます。完全に怠けることはあまりありません。義務感半分、自尊心半分です。プライドは比較的高めです。しかし、視野が狭くなりがちかもしれません。自由度の高い問題が嫌いです。外部からの話にも、あまり柔軟ではありません。だから、時に孤独になります。そんな時は、実力で黙らせます。それだけの力があり、プライドもあります。一般的な理系のイメージそのものです。
理想的ですが、近付き難いかもしれませんね。理系の人はどのタイプも孤立しがちですが、数学・物理学的理系が「考え方がぶっ飛びすぎ」て近付き難いのに対し、化学的理系は「考え方がまとまりすぎ」ていて近付き難いという感じでしょうか。ですが、自分の考えに対する自信をここまで持つことは、意外と難しいものです。多くのデータを分析し、自分のものにするというのは並大抵のことではありません。そこに至るまでの地道な努力があったからこそ、それだけの自信を持つことができるのです。自分で考えるようになり、自立心が高まってきたと同時に、社会に対するギャップを感じ始める高校生くらいのイメージですね。
データから結果を導く、これができるのが化学的理系の特徴です。
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