課題の骨格
課題の指示は生徒の学習管理【3】(定期試験対策)
前々回から、家庭での学習習慣があるのに成績が上がらないという生徒さんの原因の大半は、教師から与えられる課題の内容や量が不適切だからであるという話をしてきた。チェックすべきポイントの2点目として授業の類題だからわかる課題、生徒が1人でできる課題だけを与える事の重要性と、課題消化への意欲を失ってしまった生徒さんへの対処法を記した。補足にはなるが、様々なパターンが入り混じった問題に対する演習も、もちろん最終的には必ず必要となってくる。平均点を大きく越えていて成績上位を目指すような生徒さんにとっては、むしろ最優先で取り組むべき課題の1つであるともいえるだろう。1番大切なことは、生徒1人1人で異なる状況に合わせた課題指示を細かく与えること、そしてその指示内容を段階的にレベルアップさせていくことであるのは言うまでもない。
そこで重要となるのが「課題の量は、生徒が理解を定着させるために適切なものとなっているか。」つまり、類題の反復練習の量に対しての考察である。
全員に同じ内容の課題が与えられている学校や塾などから与えられた課題を消化しても成績が上がらないという生徒において最も多く見られる原因の1つは、シンプルだが反復練習の量の絶対的な不足である。注意しなければならないのが、これは課題の総量の話ではなく、ある1つのパターンの問題に対する類題の反復練習の量の話であるということだ。
例えば、数学の関数の分野においてグラフの書き方を授業で初めて取り扱ったとする。授業の中でも何回かグラフを書く練習をして、その日の課題にもグラフを書いたり読みとったりする問題が与えられることだろう。この時ただグラフを書くだけの問題となると、平均的に何題くらいの練習が課題として与えられるものだろうか。せいぜい数本のグラフを書いておしまいというのが一般的であろう。たいていの教材における1つのパターンの問題に対する類題の数は数問程度であるからだ。
もちろん半数以上の生徒にとってはこれで反復練習の量として充分に足りている。だからその教材はそういう作りになっているのだ。ところが中にはそうではない生徒が少なからず存在してくる。せっかく課題を消化したのに係数にマイナスや分数が入ると正確にグラフを書けない生徒。書けるは書けるのだが書くのに物凄く時間がかかる生徒。そもそも不器用過ぎて点をしっかりと結べない生徒…。原因は様々だが共通しているのは、数本のグラフを書いた程度では反復練習として全く足りなかったという事実だ。ではどうすれば彼らもスムーズにグラフを書けるようになったのだろうか。答えはやはりシンプルだ。もちろん反復練習あるのみなのだから。(次回に続く。)
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