教えるコツ
中学受験の社会と理科(指導法のツボ)(受験対策・発達障害)
小中学生の「社会」と「理科」どう教えるか
数学や国語といった日常生活と結びつきの強い科目と異なり、社会と理科は興味のあるなし関係なく暗記しなければならないことが多く、ゆえに覚えることが苦痛、嫌いという子どもは多くいるだろう。
我々家庭教師も、保護者から
「ウチの子は暗記が苦手なので、社会の指導をお願いします。」
「理科の勉強を拒否していて困っています。どうすればいいでしょうか」
などといった相談をしばしば受けるが、社会や理科の成績UPは、結局のところ大人が子どもに細かく説明したところで、子ども自身がそれに興味を持たない以上は伸びないものである。
この「興味を持たせる」ということがとても難しい。低学年の頃からもともと
天体が大好き!
昆虫が大好き!
戦国時代の武将が大好き!
国旗を全部覚えた!
といったように特定分野だけでも何かしら好きなことがあればよいが、理社のオールジャンル興味がないような子供の場合、アプローチの仕方一つでその後の理社の興味は大きく変わってくる。
ではどのようにアプローチすればいいのだろうか。
それにはコツがある。まず重要なのはファーストインプレッション(第一印象)だ。この場合のファーストインプレッションとは第一回目の授業を指す。我々は担当する生徒の初回の授業で「1分以上の説明を決してしない」ことを大切に取り組んでいる。
例えば、「1582年織田信長が家臣の明智光秀に攻められ本能寺で討たれてしまいました。この事件を本能寺の変と言います。」「江戸幕府の3代将軍徳川家光は参勤交代の制度を行いました。この制度は、大名が領国と江戸とを1年おきに往復する制度のことです。」など、学校の教科書に載っている記述をそのままそっくり話したところで「なんか面白くないな…」「難しくてよく分からない…さっき何て先生言ってたっけ。忘れちゃったな…」と感じて興味を持てずにフェードアウトしてしまう生徒が多く出てくるだろう。元々勉強に意欲があり成績をそこそことってる子どもでもそう感じてしまうぐらいなのだから、理社が苦手・暗記が嫌い・成績が上がらない子どもが話をしっかり聞いてくれないことは言う迄もない。
薄っぺらい説明をくどくど話すことは極力削って、教科書に載ってないような「面白い」「刺激的な」「聞いたことがない」エピソードを生徒に話して興味を引かせてあげることが肝要である。
先ほどの例で言うと「織田信長は明智光秀をハゲと馬鹿にしたせいで明智がキレて本能寺に復讐にきたんだ。」「徳川家光は参勤交代を行った。これは大名がお家から江戸まで往復するマラソンみたいなものなんだ。だけどあまりに過酷だからサボってだらけてた大名もいたり、愛犬を散歩で連れて気を紛らわしてたおかしな大名もいたんだ。」とクスッと笑えるようなちょっとしたエピソードを入れる工夫をするだけで、生徒の食い付きは劇的に変わる。
面白さだけではなく、ある歴史上の人物の生き様やカッコ良さを題材に濃く話を仕上げて盛り上げながら話をしてみるのも良いだろう。一人の人物を主役に仕立てて、その人物の魅力や周辺で起こる出来事、立ち位置や人生観などを深く掘り下げてストーリートークをしていくことで生徒もその人物を好きになり、最初はほんの少しだった(もっと知りたい欲求)が自然と膨らんでいったりするのだ。
同様の事は理科の授業にも言える。例えば、力のはたらきの授業で「両手でお盆を持ち、その上に風船を置いています。両手を離すとお盆は下に落ちますが風船はどうなるでしょう?」と身の回りの物をテーマにした実験系雑学などは理科に興味を持ててこなかった子どもたちでも気になり興味を持って話を聴いてくれることが多い。
私は最近の理科の授業で、小学4年生の男の子に生き物について教えたが、その時「ハチVSアリの大群」の動画を生徒と鑑賞したり、漫画好きな生徒のために「動物の生態のしくみ」のカラーマンガを持っていって一緒に読んだ。そうすると生徒はとても食いついて楽しく話しをしながら授業を行えた。
分厚い教科書を広げて固い文字を眺めペンで太字を引かせて「ここは大切だよ。」と言っても生徒は全く興味を持ってくれない。時計ばかりを気にして授業もただ苦痛なものとなる。そうした「響かない」授業をしないためにも、以上に挙げた手法で生徒目線に立った楽しい授業を行うことは、授業に厚みを持たせ生徒の社会や理科に対する苦手なイメージをぶち壊し興味を引かせる上で非常に効果的なのである。
興味を持つことこそ、理科社会に限らずその分野で力を付けていく大きな第一歩なのだ。
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