数の理解
数の概念(数の大小 )が理解できない-算数の学習事例(発達障害)
プロ家庭教師のジャンプには、発達障害を抱えた生徒さんや、いわゆるグレーゾーンに位置するお子さんが多数在籍しており、その中でも算数の学習でつまずくケースが多く見受けられます。
今回は「足し算」ができないというお子さんの事例をもとに、私たち家庭教師がどのように指導しているかをご紹介したいと思います。
- ○○と△△ではどちらが多いですか?少ないですか?との算数の問いに答えられない。
- たし算は増え、ひき算は減るいうことを理解しないまま、なんとなく計算している。
- 1、2、3、…と数字の羅列は覚えているが、1から2、2から3と1つずつ数が増えているところまではわかっていない。
など数の大小を捉えることが難しい子どもたちがいます。普段の会話では、子どもたちにわかりやすい言葉を頻繁に用いるため、使われる言葉に偏りが見られ、やり取りに支障がないケースもあります。そのため、就学後の算数の学習で理解できない原因がわからず、算数ができないとパニックになり、慌ててしまうことがよくあります。プロ家庭教師のジャンプでは、子どもたち1人1人のどこが盲点となり、わからない原因を作り出しているのかを見抜き、理解できるまで丁寧な指導に努めています。
私の受け持った生徒にも、何度やってもたし算ができないという子がいました。ご家庭からお話を伺うと、
と親子での家庭学習に行き詰まりを感じており、プロ家庭教師の指導を希望されました。
最初に
「1から10まで数えられるかな?」
と質問すると
「そんなの簡単!」
とスラスラと数えることができました。
更には
「1から10まで書けるよ!」
と書いて見せてくれました。
生徒が書いた数字を指差して
「おっ、すごいね!じゃあ、1と2はどっちが大きい数かな?」
と聞くと、生徒は数字を見つめ少し考えた様子でしたが
「わかんない」
との言葉が返ってきました。生徒は数字を記号や形として捉え、数字の持つ意味までは理解できていませんでした。
そこで、生徒が書いた数字の上に同じ数だけシールを貼るという作業を取り入れました。
ここでのポイントは、数字の上に直線を引き、その直線上にまっすぐシールが並ぶように貼っていくというルールを提示することです。シールを貼るという指示だけでは、シール同士がが重なったり、貼っていくうちに斜めなり隣に貼ってあるシールとの区別がつかなくなったりすることがあるからです。
また、異なった色のシールを貼っていくことも大事な要素となります。数字の大小を比べる時に、視覚的に取り込みやすく、違いが明確になるからです。手先を使って作業をすることは、生徒の集中力を養い、脳の活性化にも繋がります。
さらには、ルール通り貼り終えた時の達成感からできるという自信が生まれ、自分で作ったからこそ教材を大切にするという気持ちが芽生えます。そのことから、指導時に限らず、日常の家庭学習の際にも補助教材として活用することをねらいとしています。
さっそく生徒に
「1と2だったら、どっちがたくさんあるかな?」
と聞いてみると
「2!」
と答えが返ってきました。
「もう1回、同じことを聞くよ。1と2だったらどっちが大きい数かな?」
との問いかけにも、
「2!」
との答えが帰ってきました。
単に繰り返すのではなく、たくさんあることを算数では大きいということばに置き換えることで、算数で使うことばを学習し、理解してもらいました。この流れに乗り、2と3なら3、3と4なら4…と詰まることなく多い方の数を認識し、数には大小の意味があることを理解するところまで到達することができました。
次に、生徒が作った教材を計算機として使って、足し算にチャレンジしてもらいました。使い方は、1+1の場合、1のところに左手の人差し指を置くことでスタート地点を決めます。こうすることで、数えまちがいを防ぎ、正確に数えることができ、やり直しの負担が減り、生徒のストレスも軽減されます。
次に、右手の人差し指で右に1進みます。数え終わったところが答えになるので、答えは2となります。生徒1人でも宿題ができるように、生徒が作った計算機プリントを使いながら足し算の計算問題が解けるように、毎日5問ずつを日割りにして渡しました。
ご家庭からは
「先生からの宿題だよとプリントを渡すと、計算機プリントを使いながら1人で宿題をしています。夕食までには終わるようになりました。」
と時間と気持ちに余裕が生まれたと嬉しい報告をいただきました。1人でできることが増えることで子どもたちの自立につながります。生徒のわからないの根本を見抜き解決していく、きめ細かい指導に努めていきたいと思います。
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