苦手を楽しく
パズルで簡単!楽しく身に付く漢字学習指導法(発達障害)
- 漢字の書き取りに苦戦している
- 文字の形や部首との距離感といったバランスが取りづらい
- 漢字がなかなか覚えられない
など小学1年生になり漢字の学習がスタートすると、ひらがなやカタカナとはまた違ったバランス感覚を求められる漢字の学習に戸惑ってしまう子どもたちがいます。ひらがな、カタカナは一文字一音(「あ」なら「あ」、「ケ」なら「ケ」とだけ発音すると決まっている)ですが、漢字は訓読み、音読み、送りがな、とあるのも戸惑う原因のようです。
私の受け持った小学1年生の生徒(学習障害)にも、学校のドリルにお直しのチェックが入ることが積み重なり「漢字やるの嫌だ。なんで練習しないといけないの?」と漢字の学習に強い嫌悪感を持ってしまった子がいました。ご家庭からは、「毎日漢字ドリルの宿題が出るのでドリルの準備をしようとすると嫌がって座ろうとしないんです。丸がもらえないからやっても意味がないと思っているようで困っています。」といったご相談を受け、そういった発達の特性を理解してもらえるということでジャンプへご入会されました。
当初は漢字と聞くだけで逃げ回ってしまう生徒だったので、初回の指導では「○○ちゃんってパズルが得意だよね。今日は特別に○○ちゃんだけのパズルを作ってきたから遊ぼう!」と声をかけました。
事前に生徒がパズルに夢中になっていると聞いていたので、生徒の好きなことと合体させる教材はないかと考えました。
そこで、草という漢字の場合はくさかんむり、日、十という風に漢字を部首とそれ以外に分解したパズルを作って持っていきました。すると漢字に苦手意識を持っていた生徒が「先生、これ私のために作ってくれたの?すごい!どうやってやるの?」と生徒の方から歩み寄って来てくれました。「じゃあ、花って漢字を一緒に作ってみようか○○ちゃんもお手伝いしてね。」と促すと「いいよ!これでしょ…、これでしょ…」と、くさかんむり、イ、ヒの3枚のカードを使ってパズルを完成させることができました。「○○ちゃん、すごいね!漢字博士だね!」と誉めると、これまでの漢字に対するマイナスイメージに徐々に変化が見られ「先生、もっとやりたい!次の問題出して!」と次々に漢字パズルを完成させていきました。
というイメージがなくなったことや、元々WISC結果で言語理解(耳からの認知)よりも視覚認知(目からの認知)のほうが優位であったこともあって、漢字パズルが得意になっていってくれました。
以後、指導の冒頭は漢字パズルから取り組み、得意なパズルのパーツを組み合わせる作業を通して、
という気持ちを作ってあげるようにしました。
また漢字を堅苦しく難しいものと思い込んでいる生徒だったので、漢字パズルを作る際にも、柔らかく優しい印象を持ってもらえるように、少し丸みを帯びたゴシック体を採用しました。
生徒に合った教材や指導といった環境を整えてあげることは、その子の知的好奇心を育て、開花させる糸口となる重要なポイントです。当初抱いていた漢字への抵抗感も次第に払拭され、今ではどちらが早く漢字を完成させられるか競争したり、積極的に「先生、これ何て読むの?どうやって書くの?」と質問ができるまで漢字を楽しみながら学習できるようになりました。
ある日「先生、これ見て!」と花丸をもらった漢字ドリルを嬉しそうに見せてくれました。納得できるまで何度も書き直した跡がみられ、苦手意識を克服した生徒の成長を感じることができました。漢字パズルは家庭学習にも取り入れてもらい、毎日パズルを使って5つ漢字を作り、それらを書き取ることを宿題にしました。
ご家庭からは「先生からの宿題をやってから学校の宿題をすることが習慣になっています。漢字ドリルも嫌がらなくなったので安心しました。外にいても看板に書かれている漢字が気になるようで、あれは何て書いてあるのか、どんなパーツで出来ているのか、どういう意味なのかと聞いてくるようになりました。」と我が子の変化に驚きを隠せないといったご様子でお話しされていました。今後は他の科目にもパズル形式の学習を取り入れて、楽しく学べる環境を作っていきたいと思います。
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