買い物ゲーム
社会的自立のために(発達障害)
プロ家庭教師のジャンプには、知的障害を抱えるお子様も在籍しています。
私も小学生低学年の知的障害を持つ児童を何人も教えてきました。
普通学級に入れるための授業や、普通学級並の授業を希望されるご家庭もいらっしゃいますが、基本的には将来を見据えての『社会的自立』を視野に入れた基礎学力を身につかせてほしい、という希望が多いと思います。
あと10年もすれば親も年を重ね、子供も成人するわけです。そこからは親の介助なしに一人でなるべく生きてもらいたい、という親御さまの気持ち、とてもよくわかります。
そんな親御さまの希望、生徒さん本人の希望に応えるため、様々な工夫をして授業をしています。
今回は、普段の授業で行っている社会的自立に向けたレッスン
の2つを簡単にご紹介したいと思います。
①すごろくしよう
【目的】
- 数の概念を学ぶ
- 簡単な計算の訓練
- 対人コミュニケーションのトレーニング
- 勝ち負けなどの情緒トレーニング
【やり方】
完全自作のすごろくを作って、サイコロで勝ち負けを競います。
「いくつ前に進む」
「いくつ後ろに戻る」
「3つ飛ばす」
といった基本的な数や位置についてのやりとりが既に日常生活での数の概念に結びつきます。
サイコロというアイテムだけでも、少しルールを付け加えていくだけで、例えば
- お互いサイコロを1回ずつ振って、数の大きいほうが進める(数の大小)
- お互いサイコロを1回ずつ振って、数の大きいほうが、その差だけ進める(違いはいくつ、の学習)
- サイコロを2個使って足した数だけ進める(6+5とかだと、もう繰り上がりの計算ですね)
といったように、たし算ひき算の勉強にもつながったりします。
スタートからゴールまでにはいくつかのポイント地点があって、
- 早口言葉を3回言えば進めるよ
- あやとりでタワーを作れば先に進めるよ
- 30秒以内にこのたし算2つ解ければボーナスポイント10点ゲットだよ!
- クイズコーナー!
- ジャンケンして勝てば2つ進む、負けたら1つ戻るよ
みたいなお楽しみ?ポイントもたくさん準備しておきます。
最終的には5回に4回は私が負けてあげるのですが、5回に1回は私が勝ちます。負けて悔しいという気持ちや、それに向き合うことも経験としては必要だと思います。
②買い物しよう
【目的】
数年後、実際にスーパーに行って一人で買い物ができるようになるために、
- 買い物のルール
- お金のやりとり
を学んでもらいます。
【やり方】
「店員さん役」と「お客様役」になりきって行います。
買い物用に、お弁当カードやハンバーガーカード、ドリンクカードなど、おいしそうなカードが商品として並べてあります。
そしておもちゃのお金(1円玉、5円玉、10円玉、100円玉、500円玉、1000円札の6種類使います)が登場します!
こちらのポテトを1つくださいな
って、オーーイ!
みたいなやりとりをしつつ、
さんじゅうにじゅうえんです
100円が3つで300円だね
さんびゃくにじゅうえんです
合っていますかー?
生徒さんは一生懸命お金を数えてくれます。
たまに、
えーと、500円玉で支払いますね。
おつりもらえますかー
と、少し難度を上げて、一緒に計算をしたりもします。
店員さんとお客様とのやりとりだったり、お金の勘定だったり、を楽しく学んでもらえ、いつも楽しみにしてくれています。
今回は2つの「社会的自立に向けた授業」をご紹介しました。
また機会があれば他のいろんなゲームもお話していきたいと思います。
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