覚えるコツ
単語が覚えられない(学習障害の可能性がある児童への指導法)(発達障害)
目次
①一般的な症状について
②具体的な生徒さんの症状
③覚えるコツ
①一般的な症状について
プロ家庭教師のジャンプには、発達障害またはグレーゾーンに位置する生徒さんが多くいらっしゃいます。学習障害一つを取り上げても、英単語が認識できない、漢字が形として認識できない、暗記が苦手、覚えてもすぐ忘れる、読み書きが苦手、文章をまとめるのが苦手、文章読解が苦手など、生徒さんによって症状が違うため、個々に合った指導が必要となります。あるいは、診断名が出ていなくても、WISC4やWISC5、その他知能検査の所見や分析結果、数値で得意不得意の差が顕著にある場合でも、数値が同じだから同じ勉強法で理解できるというわけではないわけです。
また、そのような発達障害というものに理解があり、個別に対応してくださる塾や家庭教師、学校の先生もまだまだ少ないようです。
②具体的な生徒さんの症状(学習障害)
暗記ができなくて、頑張って勉強しても英単語が覚えられません。担任の先生はやる気がないからだと、、、
過去に担当した中学校1年の女の子の生徒さん(以下Aさん)は、運悪く発達障害に理解のない教師が担任になってしまい、その教師のある一言がきっかけで自信を無くし、以来学校に通えなくなってしまいました。Aさんは不登校になって以降、1日に4時間も自主勉強していたにもかかわらず、暗記系の学習障害であったためにその内容が覚えられませんでした。特に英単語のスペルが覚えられない。覚えてもすぐ忘れる、のではなく、そもそも覚えること自体出来なくて困っていたのです。
そんな彼女に対して担任の先生は「もっと勉強しろ。やる気の問題だ。」と言い放ったそうです。その一言がきっかけで、「自分はどれだけ頑張っても覚えられないし、先生にも認めてもらえないんだ」と傷つき、ヤル気や自信を失い、やがて不登校になってしまいました。
このような結末を未然に防止する手だての一つに私たちプロ家庭教師の存在があります。どんなケースであれ、プロ家庭教師のジャンプでは、事前に保護者様から生徒さんの詳しい様子(得意不得意、癖、気を付けるべきこと等)を伺い、生徒さん一人一人の状況を把握した上で指導に臨んでおります。そのため、不用意に生徒さんを傷つけるようなことは無く、生徒さん達の個性を尊重しながらやる気を出させるようにします。
③覚えるコツ
前述のAさんの場合も、
「長時間勉強して全てを暗記しようとしなくていいんだよ。まず、時間は45分でいいんだよ。先生が必ず覚えなければならない用語だけをピックアップするからね」
と話しました。学校の先生とは真逆の事を提案する私に最初は戸惑いをみせていました。
また、そのAさんにとっての「覚える」という行為がどのように行われているのか実際に目の前でやってみてもらったところ、「覚え方」に改善点が見られました。以下に例を示します。
<Aさんの今までの暗記方法とテスト結果>
英単語を1週間で30個覚えるとします。Aさんは単語のスペルを見ながら、1つの単語につき30回、ノートに黙々と書いていきます。
それを月曜から土曜まで毎日続けます。日曜は母親が単語チェックテストを実施。30個中、だいたい3,4個だけ正解。
<改善点>
- 発音を口で唱えながら耳でその音を聞く意識を持つように指示。
- 毎日30個ではなく、1日10個を指示。
- 1個の単語につき、スペルを見ながら30回ではなく、スペルを隠して1回書いてみる。合っているかスペルを確認して、合っていればもう一度。それを5回繰り返すことを指示。5回正確に書けるまでやってみる。
月曜 | ・10個覚えようとしてみる=インプット |
---|---|
火曜 | ・昨日の10個がスペルを見ずに書けるかどうか、自分でミニテスト(別名:自分テスト)を行う。=アウトプット ・あらたに10個覚えようとしてみる=インプット |
水曜 | ・月曜と火曜の合計20個をミニテスト。=アウトプット ・あらたに10個覚えようとしてみる。=インプット |
木曜 | ・月曜~水曜の合計30個をミニテスト=アウトプット |
金曜 | ・木曜でミスした単語だけのミニテスト=アウトプット |
土曜 | ・金曜でミスした単語だけのミニテスト=アウトプット |
日曜 | ・テスト!=アウトプット |
以上のように、覚える量や覚え方、反復の頻度やミニテストの実施などインプットとアウトプット法の適切な配分とやり方を細かく指示したところ、「そもそも覚えること自体出来なくて困っていた」と前述しましたが、Aさんは30個中29個、正確に書けるようになってくれました。今までのAさんの暗記方法はすべて「インプット」だけだったことが覚えられなかった一つの原因であったのです。私の「覚えるコツはアウトプットを何度も繰り返して脳みそにこれは大事な情報なんだ!と刷り込んでいくことだよ!逆にいえば何度も繰り返される情報は脳が自然とこれは重要だ!と認識して記憶するようになるわけだからね!」という言葉が目から鱗だった、とAさんは後に語ってくれました。
また、単語のスペルを覚えるときも正確な発音がわからず「読み方がわからないから書きようがない」とも感じていたそうで、それについても「自分が覚えやすい音で大丈夫だよ」(具体的には例えばmonday、tuesday、wednesday、thursday、fridayなら「モン、ツエス、ウェドネス、てぃーえいちゆーあーるえす、フリ」など、一見バラバラで無茶苦茶ですが本人にとっては覚えやすい発音で)と話して、それで唱えながら書くとスムーズに入っていきました。(スペルの正確さより、まずは音を出して単語がなんとなく読めて、その意味が言える、というステップもとても重要になります。なぜなら聴覚情報(発音)の方が視覚情報(スペル)よりもはるかに脳の情報難度が低いからです。人間はみな生まれたときは字は書けなくてまず耳から言葉を覚えて、やがて書字を学ぶという手順が言葉を獲得する基本の流れがそれを物語っています。)
Aさんの話に戻ります。Aさんは全く単語が覚えられない学習障害ではなく、覚え方のコツがわからなかったことやワーキングメモリが低かったせいで定着しなかったことがわかり、単語が覚えられるようになってきたことで、彼女も次第に勉強への自信を取り戻し、担当して約半年で学校へ復帰できるようになりました。
「家庭教師の指導」=「先生が親身になって解説してくれる」と思う方も多いかと思います。もちろん親身になって教えておりますが、ただ教えるだけだと授業中先生がずっとしゃべっていて、生徒は聞いてばかりの一方通行になってしまいます。特性ある児童の場合、言葉(会話)で長々と解説をしてもワーキングメモリや言語理解の低さゆえ、なかなか頭に入りません。視覚的アプローチを交えて、説明はなるべく短く行っあげることが大切になります。
実際の指導では、「教える」よりも「教えたことが理解できていて」且つ「自分一人でそれを紙に表現できるかどうか」の確認のほうが重要になります。 さきほどのAさんの例のインプットとアウトプットの比率がおよそ1:2であったように家庭教師の授業内でもだいたい同じくらいの比率となります。
「勉強が覚えられない」「覚えてもすぐ忘れてしまう」「暗記できない」「ワーキングメモリが低い」と困っている生徒さんが世の中には本当にたくさんいますが、実はこのような「勉強のやり方」「覚え方」さえ改善すればすぐに結果が出ることもあるということです。
その他にもフォニックスを取り入れた単語指導であったり、絵を活用した暗記法など、生徒一人ひとりが取り組みやすい学習法を実践しております。もし「漢字や単語が覚えられなくて困っている」「ワーキングメモリが低くてなんとかしたい」と悩まれている生徒さんや保護者の方がいらっしゃいましたら、是非私たちプロ家庭教師のジャンプに頼っていただければと思います。
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