二つ目の壁
精度と反復(特殊算)(受験対策・発達障害)
前回ご紹介した小学5年生のMちゃんですが、4月から6年生になり中学受験の年となりました。(»変化する小テスト:Mちゃん)
今までは分数・小数の計算といった計算分野の確認を行っていましたが、日々の授業の様子から入試用の勉強に入っても問題ないと判断し、中学受験用の内容(特殊算)に入りました。
あれから順調にいっているだろうと思う方も多いでしょう。ところがどっこい、そんなにうまくいきませんでした。
小テストでまたもや10点…
ちなみにMちゃんは今まで宿題をさぼったことはありません。今回も宿題はやっており、やり方も徹底させていました。
一体何が起きたのでしょうか…?
計算問題では上手くいっていたMちゃんですが、特殊算に入った途端小テストで10点を取ってしまいました。何故こんなに差がついてしまったのでしょうか?小テストを解いている様子を見て、すぐにピンときました。
解き方を調べる精度が低かったのです。
「計算のやり方を覚えられたのだから、特殊算でもできるのではないか?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、Mちゃんのようなタイプの生徒さんにとって、文章問題や特殊算を例題と同じように解くことは大変なのです。Mちゃんが問題を解けなくなってしまった理由は、大きく分けて2つあります。
①計算に比べて途中過程が長い
計算問題だったら途中式の変化を見たり、やり方のコメントを見たり等で過程をすぐに理解することができます。しかし特殊算の場合、問題文を読んで線分図を書き、比の差や量の差を求め、1あたりの量を求め…のように書いていても嫌になる程の長い過程があります。
Mちゃんはやり方が書いてあるノートを見ても、数字を追うだけで、何がどうなっているのか細かく調べることが出来ていませんでした。
②読むことが苦手で式を立てられない
計算問題ならば、既に式は書いてあるので、自分でやることは解くことだけです。しかし特殊算は式など書いてありませんから、自分で式を立てないといけません。Mちゃんは文章を読むことが苦手で、“AさんはBさんより5歳若い”と問題に書かれていても、どちらの方が若いのか判断できなかったのです。そうすると線分図は書けませんし、式も立てられません。
特殊算攻略に向けて
今まで頑張ってきたMちゃんに、何とか特殊算を解けるようになってもらいたい!と思い、あることを徹底的にやってもらいました。その結果、先日小テストで75点とることができました!
文章題が苦手なMちゃんが、どのような練習をして75点を取ったのかご紹介します。
方法はシンプルです。
“とにかく反復する!”です。
何を当たり前の事を…と思うかもしれませんが、反復練習という単純な事も、気をつけて練習させないと失敗してしまいます。
私はMちゃんに特殊算を教える際、解き方の流れを覚えられるように敢えて文章のパターンを絞り、数だけ変えたプリントを何枚も作りました。
“文章のパターンを絞る”というのは、文章題を解く上で普通ご法度です。
例えば
- 20個のアメを5人に配るとき、1人何個のアメをもらえますか。
- 20mのリボンを5等分するとき、リボン1本何mですか。
2つとも式は同じですが、「配る」と「○等分」がどちらも割り算であることを知らないと式を立てられません。そのため、基本的に文章問題を解けるようにするには、様々な表現を教える必要があるのです。
なぜご法度であるとわかった上で“文章のパターンを絞った”のでしょうか?
理由は2つあります。
①志望校過去問題の傾向
希望する中学校の過去問題を分析したところ、どの特殊算かわからないような捻った問題は出題されておらず、参考書の例題のような出題傾向でした。もちろん、個数と代金の問題が、人数と入園料に変わっている等の変化はありましたから、作成したプリントもそれに合わせました。
②解き方の流れを覚えにくくなる
文章の表現を変えた場合、そちらばかりに意識がいきすぎて、解き方の流れを覚えにくくなってしまいます。1つの式で終わるような問題ならばさほど混乱しませんが、特殊算の場合はそうもいきません。
手順を暗記することに集中できるよう、数字だけ変えたような問題を何度も何度も解いてもらいました。
その結果、Mちゃんは小テストで75点とることができました。
消去算の数が揃っていない場合も完璧です!
前回よりも65点もアップしているのに、丸付けの後「怒られるー!」と大泣きして叫んで大変でした。いっぱい練習して自信もあったから、悔しかったのでしょう。
もちろん誰にも怒られず、むしろ誉められたのですが(笑)
泣くほど頑張ったMちゃんなのでした。
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