文章題=図解
一文ずつ図に書く(小学1年生の算数)(発達障害)
小学1年生の算数は「なかまさがし」から始まります。たとえば、絵の中に数種類の動物が数匹ずつえがかれていて、同じ種類の動物同士(リス、ウサギなど)を丸で囲む作業がはじめです。
次に、絵の中の動物の数を数える問題があります。数を数えるといっても、まだ数字を習っていないのが前提なので、同じ数だけ○に色をぬりましょう、というような形で聞かれることが多いです。
「なかまさがし」の次にくるのが「かずをくらべてみよう」です。基本問題としてたとえば、上段に犬の絵が並んでいて下段に犬小屋の絵が並んでいて、多い方に丸をつけましょうという問題があります。ここでも数字はまだ習っていない前提なので、数を数えるというよりも絵を見比べて上と下どちらが多いかを判断することになります。
「かずをくらべてみよう」の次の段階として、絵の中に数種類の動物や植物がいくつかえがかれていて、絵を見て多い方を答えましょう、という問題がでてきます。上段下段でえがかれていた基本問題とちがい、絵の中にランダムにえがかれているため、数字を習っていない子供にとっては数を比べることはなかなかむずかしいことです。ここでのコツとしては、比べるもの同士をひとつずつ線でむすぶというものがあります。先にむすぶものがなくなったものが少ない方というわけです。
そのあとは1から10までの数をならい、次に「なんばんめ」という単元があります。
ここまで小学1年生の範囲で出てきた数は、物の数をあらわす「個数」でしたが、この単元では、物事の順番をあらわす「序数」を学習します。
教科書に出てくる問題としては、ちがう種類の動物が横一列にならんでいて、たとえばネコは左から何番目でしょう、右から何番目でしょうというのがあります。同じように、縦一列に並んでいて上から何番目、下から何番目でしょうというものもあります。また、前から3番目の車に色をぬりましょうや右から6番目のケーキに色をぬりましょうなど、何番目かを数えさて色をぬらせる問題もできるでしょう。
ここでは、先頭から数えることによって、そのものが何番目にあるかを知ることができる、またそのことを「~ばんめ」とあらわす、ということを学びます。大人にしてみればあたりまえのことではありますが、今まで出てきた「個数」とはたしかにちがう数の機能にふれることになります。
そして大人でも油断するとミスをしてしまう問題が、この小1の6.7月頃から出始めます。
例えば
②まえから 7ばんめの くるまは うしろから なんばんめですか。
この問題は全部で8台しか並んでいないこと、そして図(絵)で描かれていること、の2点においてとてもわかりやすくなっていますので間違えることも少ないかと思います。
では
『くるまが10台ならんでいます。まえから7ばんめのくるまはうしろからなんばんめですか』
と、数が増えて図もなければどうでしょう。
10-7をして、「3ばんめ」と答えてしまう大人の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
侮れないですよね。
実は最初の『なかまさがし』で丸で囲ったり、『くらべてみよう』で線を結んだり、といった「きかれていることを理解するために必ず丸や線で書いてみる」ことが、それ以降の単元でとても役立つことになるのです。
10個のまるを書いて、図や絵にして調べていけばきっと、「まえから7ばんめのくるまはうしろから4ばんめになる」と視覚的に気づくことができるはずです。
最後にこちらも。
(3)10にんの こどもが 1れつに ならんで います。 みかさんは うしろから 3ばんめで、 みかさんより まえに いる けんたさんとの あいだには こどもが 3にん います。けんたさんは まえから なんばんめですか。
どうでしょう。図や絵にせず、頭だけで考えてみると、とても難しくありませんか?
ワーキングメモリ(一時的に情報を頭に留めておいて処理する能力です)的にも文量も増えて、条件も増えているため、一気に読むと最初のほうの条件を忘れてしまいますよね。
ポイントは、一文ずつ、読んだら図にする。
国語の文章読解にもつながるとても大切なことを、算数のこういった単元で学ぶ機会があるわけですね。
プロ家庭教師のジャンプには、文章題が苦手で入会される生徒さんがとても多いのですが、小学校高学年や中学校で扱う文章題で急につまずく、いきなり苦手になる、なんてことはなかなかないはずです。きっと文章題が苦手になるかどうかの一番最初の登竜門は、この小1の春〜夏に、どれだけ手を使って視覚的にイメージできるかにかかっているのではないかなと個人的に思っています。
算数にしろ国語にしろ、子供たちは初めてのことを毎日毎日学んでいきます。大人にとってはあたり前のことでも、子供にとっては初めて触れる未知の世界です。教える際には丁寧に段階を踏んでいくことはもちろんですが、できるだけ子供の視点に立って、子供が現時点で持っている知識や直近で学んだやり方をできるかぎりうまくいかして、新しいことへの理解につなげられるように、些細なことでも工夫をしていきたいと思います。
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