白か黒か
白黒思考(発達障害)
「復習は大切だよ!」ということは誰もが先生や親から言われていることだと思います。しかし、ADHD.自閉症スペクトラムといった発達障害や認知に特性がある子供やワーキングメモリが低い子供にとっては、
- 間違えたくない!
- 間違えた問題は嫌い!
- バツのついた答えなんか二度と見たくない!
という感情が真っ先にきてしまい、
となるため、猛烈に拒否する傾向があります。これは発達障害の子供たちにみられる「白黒思考」[別名、「二分割思考」や「悉無律思考」(しつむりつしこう)ともいいます。]によるものが大きかったりします。
白黒思考とは認知の歪みの一つで、物事をオールオアナッシング(100か0か)で捉える思考回路です。
思考が様々な場面において極端に発露します。0か100か、白か黒か、良いか悪いか、するのかしないのか、敵か味方か、好きか嫌いか、失敗か成功か、といったように二択になり、グレーな部分、つまり中間や曖昧さがないため、課題に取り組むときや人付き合いにおいて困難さを感じてしまいます。課題であれば正解は善、間違いは悪=ダメなこと、と考えたりします。間違い=失敗と決めつけて極度に怖れ、そういう思考になったりもします。
テストに対しては100点取れなければ30点も60点も98点でも、間違えたということに対して
- 俺はもうダメだ!
- こんなダメな問題二度と見たくない!
- やらなければよかった
- こんなに間違えるなんて僕はどうせ勉強なんて出来ないバカなんだ
という感情に支配されます。「これだけ出来たし、まぁいっか」とはなかなかなれません。周囲の出来る子たちは元々できていて、自分は元々できないと思い込んでいたりします。間違いを繰り返し経験していくと、「やってもどうせできない」とやることすら拒否するようになるかもしれません。
「やってみないとわからないよ!」と声かけしても、「やってもできなかったんだよ!」と返ってきたりします。今出来ている人たちも最初はやってみてできなくて、出来るように復習をして、ようやくできるようになっている、という背景が想像できないわけです。自分自身にそういう経験がなければ想像できるはずがありませんので、まずは経験させてあげることが第一歩となります。
一方、定型発達の人は、「まぁここまで出来れば上等だなー」、「もうちょいだったなぁー」、「今回はあまりよくなかったなー」と物事を0〜100の様々な思考でバランス良く考えることができます。
[余談ですが僕は勝手に白黒思考を『オセロ思考』、バランス思考を『トランプ思考』とゲームになぞらえて名づけています。オセロは黒か白、トランプは1〜13まで段階があってハート、クローバー、ダイヤ、スペードが喜怒哀楽を表しているわけです。SST(ソーシャルスキルトレーニング)で活用できる手法です。]
「ま、いっかー」という思考が持てなければ、問題をやらせても「間違えると台無し」になってしまうため、
- 極力間違わせないように確実に一人で出来る状態にまでしてから問題をやらせてみる
- できなかった問題が出来るようになると自分のできることがらが増えていく
- 出来ることを増やしていくことが勉強
- 問題を解くとはまだできるようになってないことを見つけていくこと
などを会話や資料を見せることで伝え、バランス思考を持てるよう試みたりします。「前にできていた内容でもしばらくやらないでいるときれいさっぱり解き方を忘れてしまうんだよー」「家で一人でやるときはまずこの見本を見てから、次にこの問題とこの問題をこういう風に解いてみるんだよー」と具体的に細かく話して、毎回行う小テストの難易度を調整しつつ時間を重ねてようやく少しずつ、間違えることへの抵抗もなくなってきます。
また、プロ家庭教師のジャンプの生徒さんの中には、そもそも復習(解き直し、やり直し)をしたことがない子もたくさんいます。そうなるとそもそも復習のやり方自体、わからないわけです。
だからこそ、以前やった問題、習った内容をどういうタイミングでどういうふうに復習すればいいのか、それを教えること、特に初期段階ではこちらが手取り足取りやり方を見せながら、させてみて、褒めてみて、を繰り返して自立復習ができるようにしていかねばなりません。
[復習]については下記コラムでテーマとして扱われています。是非ご覧ください。
儘田先生コラム: 「間違い探し」
山中先生コラム: 「3本のペン」
橋本先生コラム: 「復習って何」
短期的には、日々の学校のプリントやワーク、普段の小テスト(観点別評価にも効果大です!)の復習から学んでもらいます。白黒思考とまではいかなくても、バツがついたプリントを消しゴムで消してやり直すことには抵抗がある子も多いと思います。そのため、内容は同じで全く別のプリントをこちらが作成して、あたかも初めてやるプリントであるかのように見せます。
「どれ、では試しにこれをやってみようか」となにげなくやらせてみて、はい。
ここがポイントです。
この「学校でやったプリントと同じ問題」は、既に我々プロ家庭教師の授業で解説をして、解き方の見本を見せて、そこからさらに自力で解けるようにもっていっているわけです。だから、試しにやらさたプリントでも、、もちろん結果はバッチリです。100点を取らせます。
そこで種明かしです。
教師 「ホラ!このプリントって、実は、、、前に学校でやった小テストなんだよ!!」
生徒 「えぇーーっっ!!!」
と本当にビックリしてくれます。と同時に表情がパーッと明るくなってニコニコしてくれたり、なんともいえない嬉しい表情をしてくれたりします。自分に自信が芽生えた瞬間のこういう笑顔が僕は大好きです。中期的なところでは定期テストがそこまでの学習の復習としては最適です。2ヶ月間ほどの学習内容の確認をしなければならず、定期テストの点数は入試での内申点に関わるのでより真剣にやらせなければなりません。
もう少し長い期間の復習には各種模擬試験が有効です。定期テストと違って、それまでに習った全ての分野が範囲となるので、より広い分野での見直しが必要です。これらも我々プロ家庭教師のほうで、やらせる順序や問題を考慮しながら、いかに自信を持たせることができるかを念頭にいろいろ準備をしていきます。
ではなく、
です。
それはこれからの長い人生を生きていくうえでもとても大切なことだと思います。勉強を通して、そういった「生きていく力」を育てていくことも、私たちプロ家庭教師の使命であると思います。
必見! 発達障害ブログ
- 発達障害と特別支援学級(高田先生)
- 発達障害と中学受験(高田先生)
- 中学受験「偏差値50」2科目か4科目か(高田先生)
- 中学受験「偏差値40台」応用問題(仲間先生)
- 中学受験『算数の計算ミスは致命傷になる』(高田先生)
- 発達障害と漢字の覚え方(今泉先生)
- 発達障害と英単語の覚え方(高田先生)
- 勉強ができないのは発達障害のせい?(尾崎先生)
- 発達障害とWISC知能検査(今泉先生)
- ワーキングメモリと勉強(高田先生)
- 発達障害と志望校選び(鎌田先生)
- 発達障害とカラーテスト(深澤先生)
- 発達障害と白黒思考(岡田先生)
- 発達障害と小学生の算数(儘田先生)
- 発達障害と小テスト(山中先生)
- 発達障害と親の言葉(高野先生)
- 発達障害と不登校(島田先生)
- パズルで簡単!楽しく身につく漢字学習指導法(鎌田先生)
- 発達障害と漢字の必要性(高田先生)
- 発達障害とケアレスミス(儘田先生)
- 漢字を覚えられないのはなぜ?(田中先生)