ペタペタ
“立ち歩き”のヒント(発達障害)
授業は舞台のようだと感じることがあります。
観客が違えば同じ演目でも反応が異なるように、生徒が違えば同じ学年、単元を教えるときでも反応や空気は変わります。授業のやり直しはできませんし、想定外の事が起こることもあります。
4歳のY君の授業での話です。
Y君は発達障害があり、周りの子と同じようにできることを増やすため入会しました。
Y君の状況は
・手先が不器用で、鉛筆をグーで持つ
・文で上手く話すことができない
・平仮名やカタカナを少ししか読めない
・立ち歩きが多く、座っていられない
というものでした。
いきなり字を読み書きすることは難しい状況だったため、最初の授業では見本通りに積み木を積んだり、ブロックを同じ形の穴に入れる型はめをしたり、鉛筆を持たずにできることから行う予定でした。しかし、予定通りの授業はできなかったのです。
指導場所はご家庭ではなく、千葉の教室での授業でした。Y君はしばらく型はめや積み木に取り組んでいました。すると積み木の途中で急に椅子から降りて、授業ブースを飛び出してしまったのです。
タタタタタッ
なんと素早い。
さすが4歳の男の子です。
お母様から「慣れるまではとにかく色んな物を触って、立ち歩くと思います。こども病院でも座っていられるようになるまで時間がかかりました。」と聞いていましたが、教室でもそれは変わらなかったようです。
コピー機、電話、教材の棚…etc
触ったりボタンを押したり、さまざまな物に興味を示していました。
抱っこして授業ブースに戻る、Y君の後ろをついていき話しかける等をしましたが、それでも立ち歩きはしばらく続きました。何か授業のヒントになるものは無いかなぁと思いY君の様子を見ていると、ある物の前で立ち止まり、取ろうとしていました。
マグネット!
(一瞬パンダ好きなのかとも思いましたが)
これか!と思い、次の授業の際に“(某有名キャラクター)ひらがなマグネット”というものを用意し、ペタペタ一緒にひらがな表を作ったり、「“さ”はどれだ?」と聞いてカルタのように取ってもらったりしました。お家に持って帰るくらい気に入ったようで、なんと次の授業のときには平仮名を完璧に読めるようになっていたのです!
お母様も先生もビックリ!
好きなものだと、こんなにも飲み込みが早いのですね。
最終的にはひらがなマグネットを使い、“もり”や“おはな”といった単語も作れるようになりました。予定通り授業が進んでいたら、起こらなかったであろう素敵な経験でした。想定外の出来事の中にも、生徒のやる気を引き出すヒントがあるものですね。
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