文章題が苦手
文章題の克服(発達障害指導)(発達障害)
「グレーゾーン」や「ボーダー」の域にある子供たちにとって、国語の文章題や算数の文章題を理解して正解することは、非常に困難かと思います。
今まで、私も何人もの小学校低学年の生徒を受け持ってきました。
そしてどの親御さまからも「うちの子は文章題が苦手なんです」といった相談がありました。
算数の「計算」や「図形」、国語の「漢字」や「ことば」に関しては、得手不得手が一人ひとり異なるのですが、文章題に関してはほぼどのご家庭も皆一様に「苦手です」となっていました。
「足し算引き算、かけ算の計算問題は解けるけど、文章からこれは何算?と式を立てるレベルになると途端に思考停止してしまって、適当に足したり引いたりするんです」
といった具体的な悩みなどもありました。
では、そういった文章題が苦手な状態から、どのように勉強していけば出来るようになるのでしょうか。また、どこから遡って教えればいいのでしょうか。
それは、(最初の段階では)
『楽しみながらイメージできるやり方で小1の基礎から積み重ねていく』
ことが重要だと考えます。
例えば小1の最初に習う「集合数と序数」の単元から既にそれが見られます。
『もんだい』
□前から3つを丸で囲いなさい
□前から3つめを丸で囲いなさい
この問題の「3つ」と「3つめ」の違いがわからない、または同じだと思っている子供がたくさんいます。
私はこういう場合、必ず絵を書いて説明します。
その生徒が興味あるもの、例えばポケモンが大好きなら、ピカチュウやイーブイ(下手くそですが愛嬌のある)絵を書いてあげたり、生徒がもっているぬいぐるみを使ったり、画像を用意したりして、実際に並べてあげたりもします。
「行くよー!前から三番目のポケモンをプレゼントしまーす!さあ!どれがもらえる?」
「行くよー!左から2つのポケモンを先生にください!」
生徒もケラケラ笑いながら、「てことは、、、これ!」と一生懸命考えて、選んでくれます。
〜考えるための土台〜
ここに文章題が出来るようになるためのヒントがあります。
それは、「考えるための土台」を用意してあげないと、考えられない子供はたくさんいる、ということです。
頭でイメージしたり、自分で絵を書いたりして一人で解ける子は勿論大丈夫ですが、それが出来なくて文章題が解けない子供には、こちらが絵を書いたりして教えてあげるのです。それが「考えるためのきっかけ」になることを教えてあげないといけないわけです。
さきほどの『もんだい』はもう少し難度が高くなると大人でも絵にしないと解けないものだってあります。
例えば、、
『もんだい』(大人用に漢字表記にしています)
9人の子供が縦に一列に並んでいます。
たけしくんは前から6番目です。
一番前に並んでいる子供と、一番後ろに並んでいる子供の間には7人います。さやかちゃんは後ろから8番目です。さやかちゃんとたけしくんの間には何人いますか。
さて、どうでしょうか。
ちなみにこれは、小学1年生の全国テストで出題された問題と同レベルのものです。
大人でも「えっ!?ん?えーと、、絵にしてみようかな、、」となる方もいるはずです。
さきほどの「子供の興味があるもので絵にしたり具体物を使って」という手法も大切なのですが、そもそも
「縦に一列に並んでいる」ということがイメージできない子もいれば、
「間に〇人います」の「間」がよくわかっていない子もいるわけです。
「間」がわかっていないなら、
ぬいぐるみを4つ並べて
左はしのピカチュウと右はしのテレサ(オバケのぬいぐるみ)の間には、何匹いるかな!そうだね!ノコノコとヨッシーの二匹いるよね!
じゃあこれだと間は何匹かな!
と「間」についての知識、理解を別で教えてあげないといけないわけです。
また、こういった、解答用紙以外のところ(例えば問題用紙の空白部分や裏だったり、メモ用紙だったり)に勝手に絵や図や文字を書いてはいけない、と思い込んでいるケースもあります。そういう子供は問題文を読んで頭の中で全部を考えようとして、「難しくてわからない」と自信をなくしたりします。余白や他の紙に絵や図をたくさん書いて考えることが実は一番大切なことなんだよ、と実践しながら教えてあげることも文章題に限らず学問すべてにおいて非常に重要になります。
このようにして、1年生の文章題という題材から、「自分で文章に書かれてあることを絵にして一つずつ考えていけば、答えに近づける、解けるようになる」という経験をたくさんさせてあげることが、文章題を自力で解けるようになるための土台になることをお伝えさせていただきました。
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