軽度知的障害の進路例
小学生のケース
在籍が普通級(一般級や通常級とも呼ぶ)の生徒さんもいれば特別支援学級(知的級)の生徒さんも数多くいます。特別支援学級もその学校によって、または担任によって教える内容がかなり違っており、例えば6年生で小学校低学年の内容をひたすら反復させられていることもあれば、情知混合で学年相当の内容をやっていることもあります。
いずれにしても生徒さんの現在の学力をしっかりと把握し、つまずき始めの部分から達成感を持てるよう丁寧に寄り添う指導を心がけています。最も重要な理念を挙げるとすれば、「勉強が嫌いにならないようにしてあげたい」「勉強ができないせいで学校が嫌にならないようにしてあげたい」「社会に出て生きていくうえで自立できるだけの基礎学力はつけてあげたい」ということになります。その理念実現のために学習を通して「自信」や「自己効力感」を育てていきます。
小学生高学年になると中学をどうするかというのが最大のテーマになります。ジャンプの生徒さん達の過去の例で話しますと、公立中の普通級か公立の特別支援学級か、それとも私立中受験をするか、の3つの選択肢が主にあります。それぞれの目標に合わせて必要なことを細かくプランニングして検討します。
中学生のケース
東京都在住の生徒さんの場合ですと、一般的な全日制普通高校の他に、チャレンジスクールやエンカレッジスクール、通信制高校といった高校への進学を希望する方もいれば、特別支援学校の就業技術科(都立永福学園 ・都立青峰学園 ・都立南大沢学園 ・都立志村学園 ・都立水元小合学園)への進学を希望する方もたくさんいらっしゃいます。数は少ないですが、私立高校へ進んだ方もいらっしゃいます。
軽度知的障害の生徒さんの指導事例
東京都のHくん
公立中の中学1年生当時、特別支援学級に在籍していたHさんは中1の夏にジャンプへ入会されました。小学校5年生の時に受けた田中ビネーIQは59,WISCのFSIQは53という「軽度知的域」でした。愛の手帳4度を取得していて、小合学園(特別支援学校)を目標にしていました。 小学1年生から特別支援学級に在籍していたため、中1でも小学校低学年(2年生レベル)の内容をプリントで勉強していました。自宅で親が小3レベルくらいの内容を教えようとはしてきましたが、どうしても親子なのでケンカになってしまい、うまくいかなかったそうです。
本人の性格にあった教師を選定し、まずは慣れるため算数のみスタート
Hさんが入試を突破するためには国語と算数の指導が必要でしたが、最初は家庭教師の授業に慣れるため算数だけを週1回60分のコースでスタートしました。担当教師は生徒さん本人の強い希望もあり、40歳台のおっとりした優しいタイプの男性教師となりました。(今までの担任が若くてすぐに怒る教師ばかりだったそうで、優しく褒められた経験が学校でも自宅でもなかったそうです。)
特別支援学校の入試に向け、出題傾向をもとに重要単元を優先するカリキュラムを作成
特別支援学校の入試は主に小3~小4の学力レベルの試験内容となっており、毎年出題傾向は一定しています。算数は「計算」「グラフ・表」「単位」「お金関連」「時刻と時間のもとめ方」「長さや重さのはかり方」が最重要単元となるので、それらをメインにカリキュラムを作成しました。(「図形」「大きい数のしくみ」や「漢数字」「四捨五入」「変わり方調べ」は優先順位を下げました)
中1の10月から指導がスタート!中3の10月までに入試レベルに到達すべく、プランを作成。24か月あるので、最初の4か月は「計算」を基礎から。小4の「計算の決まり」や「同分母のたし算ひき算」までをスラスラできることが目標でした。それ以降は毎回計算演習をしながら、新しい単元を2~3か月で1単元ペースで進めていきました。中2の夏から国語もスタートし、中3夏頃には面接の練習なども行いました。適性検査ⅲで作業もあるため、その練習も秋から行いました。国語は漢字を「書く」ことは大胆に省き、「読める」ことを最優先に指導しました。
重要単元を徹底的に学習して志望校に合格!
入試直前には「計算」「単位」「グラフと表」「お金」の4つを徹底的に演習し、見事合格を勝ち取ることができました。
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