教える姿勢
アルバイトのプロ家庭教師とは?(指導方法)
先週末に柏市で出会った高校生の御家庭で大変興味深い話をうかがった。生徒は比較的偏差値の高い私立の中高一貫校に通いながら、野球部にも在籍している。2年生に進級して部活も忙しくなってきたので、学校の成績を維持するために家庭教師を頼む事にしたそうだ。4月から某社に依頼して、アルバイトプロの家庭教師から数学の指導を受けていた。母親は大学入試までを視野に入れて、わざわざプロに頼んだのだとおっしゃっていた。
ところがである…。学期中に2回あった定期試験の成績は散々であった。1年生の頃には塾に通いながら常に80点以上をキープできていたのに、中間試験では50点台、期末試験ではさらに下がって30点台という有り様なのだから。これではマンツーマン指導の家庭教師に、しかも学生ではなくてプロに、わざわざ依頼した意味がないといったところだろうか。もちろん、塾や家庭教師を頼んでみても実際に成績が上がるかどうかについては本人次第という側面もあるため、この事実だけでは一概に指導者のせいだとも言いきれまい。問われるべきは教師の姿勢やその指導の中身であるはずだ。
はたしてこの親子が最も憤っていたのも、実は試験の点数が下がった事それ事態ではなかった。詳しく話を伺ってみると、この生徒は毎朝5時に起床して2時間、野球の練習から帰宅して夜にも更に2時間と、日々の自宅学習を欠かさないという非常に高いヤル気をみせていた。それでも定期試験の直前には数学の学習に遅れを感じて、件のアルバイトプロの家庭教師に指導回数の増回を依頼する。そして、この依頼の断られ方にアルバイトプロの家庭教師に対する不信を感じたのだそうだ。
母親曰く。「先生も他の仕事が忙しくて日程が取れないのは仕方がありません。納得がいかなかったのは、もし成績が下がっても自分に責任はありませんので…って、はっきりと言われた事なんです!」
生徒曰く。「結局最終的にお金儲けなんですよね。90分で回数をたくさんは来たくないって、稼げないから。120分ならば来てもいいけどって、言われましたから…。」
いやはやこれらの発言内容には確かにビックリしてしまうが、家庭教師業界に四半世紀以上身を置く私としては、このアルバイトプロの家庭教師だけを責める気になれなかったりもするのだ。もちろん御家庭には一切落ち度はない。自分達の本気度と比較して、余りにも無責任な家庭教師の対応に、怒りを覚えた気持ちも充分に理解できた。しかしながら、このアルバイトプロの家庭教師の発言内容って、大なり小なりアルバイトで家庭教師をしている大多数の本音を言ってるだけだと思うのだ。
「所詮は副業のアルバイトなんだから、本業の方を優先させてもらえないと困る。副業で責任を求められても…。」「移動時間には時給も派生しないし、こんなに遠くまで短い時間で何度も来いって言われても…。」こんな感じだろうか。
要するに家庭教師をアルバイトで派遣するという、システムの限界なのだろう。責められるべきなのは、このアルバイトプロの家庭教師個人ではなく、ただの副業のアルバイトをプロの家庭教師だといって御家庭に紹介し続ける、多くの派遣会社の姿勢なのである。そもそもアルバイトなのにプロ教師です!って、いろいろ矛盾しているだろうに。
まさに御家庭がいだくこのような不満や業界がかかえる矛盾を無くすためにこそ、当社は正社員の家庭教師を派遣する体制に切り替えたのだ。この夏から、そんな当社の正社員家庭教師の精鋭達が、各御家庭においていったいどんな姿勢でどんな指導を行っているのかを、ブログに綴ってもらう事にした。会社の責任者として、それらを読む事をとても楽しみにしている。
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